「長距離ランナーの孤独」という古い映画があった。従順に走り続けたランナーが、走らされて
いる矛盾に気付いた時、突如立ち止まりその社会に向かって冷笑を浮かべる。という内容だった。
「タクシードライバー」は現在の長距離ランナーの孤独を描いた映画だと思う。
静と動、愛と暴力、優しさと冷たさ、・・・。
その振幅が大きくなり、やがて極限を超える時、トラビスの心は爆発する。
主人公トラビスは、大統領候補に「この街を水洗トイレのように洗い流して欲しい」と言うが
実際そうしたのは、自らが握った銃だった。しかし闇を撃っても心の孤独は止みはしない。
けだるいアルトサックスの音をバックに、夜の街を流す車窓から見る雨に煙るネオンは、
まるでサム・フランシスのにじみの絵画のようだ。一変して、殺戮現場の壁に飛び散った
血飛沫は、まるでジャクソン・ポロックによるアクションペインティングだ。
皮肉にも、N.Y.が最もN.Y.らしい時代だった。


( 5.0 点 / 6 人)






